「ん」と空海【日本語最後の謎に挑む】  

こんにちは、みなみです。

先日、ん(日本語最後の謎に挑む)という本を読みました。

日本語に限らず、英語や中国語など、すべての言語にはその国の文化がよくあらわれています。

新約聖書(ヨハネによる福音書)の冒頭部分にも。。

はじめに言(ことば)があった。

とありますから。。

言語によって、その国の文化がつくられたと言っても過言ではありません。

「ん」と空海

歴史をさかのぼり、大昔の日本人が使っていた言葉や文字にも興味があります。

そのなかでも「」という文字は、母音でもなく子音でもなく、清音でもなく濁音でもなく、決して語頭にはあらわれない、五十音からも外れてる特殊な文字です。

なんとなく謎めいてるし、日本文化の特徴をわかりやすくあらわしてるように思いました。

「ん」の誕生

奈良時代、話し言葉(音)としての「ん」はあったと思いますが、それをあらわす文字はなく、古事記、日本書紀、万葉集にも「ん」に相当する万葉仮名(漢字)はひとつも使われてないそうです。

中国の漢字には「ん」だけをあらわす文字がなかったようで、その後「ひらがな」や「カタカナ」が生まれた平安時代前期に「ん」という文字は登場しました。

ひらがなの「ん」

空海(弘法大師)が活躍した時代です。

空海(弘法大師)

空海はインドのサンスクリット語で書かれたオリジナルの仏典から「ん」を書きあらわせる文字を持ち帰ったとされ、それだけではなく「ん」をより深い思想として築いた天才です。

中国で密教を学び日本で真言宗を開いた僧、空海(弘法大師)

自身の著書「吽字義(うんじぎ)」のなかで「うん」あるいは「ん」と発音されるサンスクリット語「Haum」を分解して、つぎのように説明してるそうです。

  • H:原因や因縁
  • A:すべての真理の源
  • U:無常や苦、無我
  • M:自己の我と仏法によって現れた我

これらのすべてを統合したものが「吽(うん)」という真言なのだそうです。

「吽」は、空海が目指した悟りの世界をひと言であらわしたものです。

阿吽(あうん)

真言密教の阿吽(あうん)は、阿(あ)から始まり、吽(うん)で終わる。

宇宙の始まり(阿)と宇宙の終わり(吽)を意味します。

金剛力士像(あうん・阿吽)

さらに「吽」は、宇宙の終わりであると同時に輪廻して生まれ変わり「阿」をつくる。

すべての要素を含んで、つぎの生への橋渡しをする大きな役割を担ってるというから面白いです。

間(ま)の文化

わたしは「ん」という文字は、完全に間(ま)の役割をしてると思っています。

母音でもなく子音でもなく、清音でもなく濁音でもなく。。

母音と子音の間、清音と濁音の間にある「ん」は、両者をつなぐ役割をしています。

決して語頭にはあらわれず、五十音からも外れてるかなり自由度の高い文字です。

日本文化の特徴そのものですよね?(笑)

超やわらかい日本語の正体

わたしは文章を書くときにいつも思うことがあります。

日本語ってホントにやわらかい

日本語は「主語」と「述語」が入れ替わってもいいし、場合によっては「主語」がなくても通じます。(笑)

ひとつの意味を伝えるのにも、いろんな表現があって自由度はかなり高いです。

たとえば「てにをは」なんて、どっちも正しいときがあってホントむずかしいです。(苦笑)

そんな「超やわらかい」日本語のリズムを保ち、わびさびの情緒を成り立たせる正体が「」です。

余談

さいごに余談ですが、空海の幼名は真魚(まお)というらしいです。

わたしには「真の魚」が時空をさかのぼり「空なる海」に舞い戻っていく姿が浮かび、感動ポイントでした。(笑)

まとめ

ここまでの話をまとめます。

  • 「ん」は平安時代前期に誕生した。
  • 「ん」は空海が目指した悟りの世界をひと言であらわしている。
  • 「ん」は相反するものをつなぐ「間」の役割をしている。
  • 「ん」はすべての要素を含んでいる。
  • 「ん」が超やわらかい日本語の正体。

以上、ん(日本語最後の謎に挑む)という本を読んだ感動をまとめてみました。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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